5代目後期型BMW3シリーズ(2008~2012年)試乗レビュー:マイナーチェンジでシャープさup

数あるBMWラインナップの中でも、日本の交通事情にも配慮したサイズ感とBMWらしいスポーティーな走りで高い人気を誇る3シリーズ。その3シリーズを新車・中古車を含めて検討した時、候補にはいる1つが5代目(E90)の車両だろう。5代目の中でも2008年にモデルチェンジした後期モデルに注目して、その走りや燃費をご紹介したい。
総評
前期モデルと比べ、車幅を除くボディサイズが大きくなった5代目後期モデル。クルマの顔ともいえるキドニー・グリルがワイドになったほか、ボンネットなどにデザインラインが加えられたことで、よりシャープでスポーティーなスタイリングに仕上がっている。また前期モデルは安全性能評価が低かったが、後期モデルになり、安全性評価も大幅に向上した。
歴代の3シリーズ同様、インテリアの高級感という点では課題が残るものの、そのパワフルなエンジンや俊敏で一体感のある走り、特にその魅力的なハンドリングで世界的に高い評価を受けている一台である。
現在購入するなら中古車ということになるが、2012年まで販売されていたモデルということもあり、状態が良い車両も多い。先述のように安全性評価も高いことから、性能と価格のバランスが良いのがこの5代目後期モデルだといって良いだろう。また後期モデルは車幅が前期モデルよりも15mm狭くなっているが、これは日本の立体駐車場に停められるように敢えて1800mmにしており、都市部に住む人にはこれも嬉しいポイントだ。
“The sharp-edged styling won’t be to everyone’s taste – although we think it looks better than before – but beneath it lies the most complete compact executive that we’ve yet seen. “–Fifth Gear
シャープなエッジを備えたスタイリングは好みが分かれるかもしれないが、しかし前のモデルよりもカッコいいと言っていいだろう。しかも、そのスタイリングの下には、かつてないほどに完成された駆動系が隠されている。
“The BMW 3 Series lags behind Audi’s A4 for comfort and ultimate practicality, although few cars are as fun to drive.” –carbuyer
快適さや実用性という点では、3シリーズよりもアウディのA4の方が上を行っている。しかし、3シリーズほど運転していて楽しいクルマは、他にほとんどないだろう。
評価ポイント
- パワフルなエンジン
- 運転するものを魅了するハンドリング
- 快適な前列シート
- 高い安全性評価
マイナスポイント
- やや狭い後部シート
試乗レビュー
新車で発売されたときから、その俊敏な走り、洗練された乗り心地、そしてスムーズで跳ねるようなエンジンで高く評価されてきた3シリーズ。セダンの他に、ワゴン、クーペ、そしてハードトップコンバーティブルも販売されていた。
そのエンジンはグレードに併せてパワーが用意されているが、どれに乗ってもBMWらしい走りを楽しむには充分。ベースグレードの320iで最高出力が170/6700(ps/rpm)、最大トルクが21.4/4250(kgm/rpm)という性能を備えている。もちろん、上級グレードの335iなら300馬力にも上るパワーを味わうことができる。
トランスミッションはマニュアル、オートマとも用意されており、駆動方式も後輪駆動と四輪駆動がある。四輪駆動のモデルはやや中古車在庫が少ないので、四輪を選びたい人はこまめに入荷情報をチェックしておいた方が良いだろう。燃費は8.9~18.4km/L(10・15モード)。ベースグレードの320iなどは、現在新車で販売されているクルと比べても、それほど見劣りしない燃費性能を備えている。
インテリアは、運転しやすさを重視した機能的で合理的なスタイリング。前列のシートも快適で、高速で走った時もしっかりとサポートしてくれる。スポーツパッケージだと、このシートも更にサポート感の強いものになる。後部座席の足元や荷物スペースは狭い印象が拭えないが、これはこのサイズのクルマであればCクラスなどにも見られる課題なので仕方がないだろう。