2013年型 ポルシェ・パナメーラ試乗レビュー・燃費・中古車情報
9 3月, 2015
ポルシェの一番人気といえば911カレラシリーズだが、このシリーズはかなり多くのラインアップがあり、選ぶにも複雑だ。一方、パナメーラはパナメーラ4Sとパナメーラターボの2種類のみで違いも明確。滑らかなボディラインも美しく、気になる車だが…
さすが、ポルシェだ。今世に出ているどのラグジュアリーセダンと比べても、多くの維持費を要するスポーツカーと比べても、パナメーラはよりたくましい走りをする。また、スタイリングも美しく、キャビンも豪華さがあって、4Sでも1,500万円以上するが、それだけ見た目も中身も品質の高さがある。パフォーマンスの高い車は故障のしやすさなど脆い部分があることも多いが、ポルシェは高い信頼性も持っている。しかも、高価格なだけあって、カスタマイズに関してもかなり融通が利き、より特別な一台として愛着が湧くことに間違いないだろう。
しかし、やはりお金のかかる車だ。また、実用性も特別高くない。あくまで「自分を高める車」、「自分に付加価値をつける車」という形でこのパナメーラを迎えなければいけないだろう。ベンツSクラスのような、リムジンのような乗り心地もなく、同じような価格を出せば、パフォーマンスを多少落としてもより実用性や快適性のある車などもあるので、そのあたりのバランスを考えて選びたいところだ。
海外モデルではハイブリッドタイプや力強さあふれるターボSなど、911カレラと同様に多くのラインナップを持っているパナメーラだが、日本で販売されているパナメーラはパナメーラ4Sとパナメーラターボの2種類。
パナメーラ4S(新車販売価格1,591万円)は6気筒エンジンを搭載しており、最高出力324kW、最大トルク550Nm、最高速度は289km/hであり、0-100km/h加速に要する時間は4.4秒となっている。この力強さや加速力に加えて、オプションでスポーツクロノパッケージを装着することもでき、より速さを増すことも可能である。
もう一つのパナメーラターボ(新車販売価格2,327万円)は8気筒エンジンを搭載。最高出力404kW、最大トルク770Nmの驚異的なパワーを生み出すことができる。最高速度は306km/hであり、0-100km/h加速に要する時間も3.8秒とより速い。こちらもスポーツクロノパッケージをオプションで装着することが可能だ。
車のスタイリングはハッチバックとなっている。リアシートを使えばそれなりのスペースを確保することができ、大きな荷物も置くことができるが、逆に、リアシート倒さなければ、その積載量は多くのライバルに比べて小さい。BMWの7シリーズやレクサスのLSなどはより広いトランクを持っている。また、カーゴスペースの開口部も少々狭く、高い位置にあるため、重いものや大きなものを積むのには少々苦労する。そういう意味では、あまり荷物を積んで運ぶ用途に期待してはいけないだろう。
荷物を積むという点では欠点の多いパナメーラだが、居住性は悪くない。フロントシートはかなり広さがあり、快適である。また、リアシートについても広さがあり、頭上も足元も思いのほか十分なスペースがある。ただし、リアシートに乗り込む際、あるいは車から降りる際には、パナメーラは少々窮屈に感じられるかもしれない。出入りの時だけであって、車内は十分に広いのだが、座席が低い位置に設定されているのに対し、車両の台枠は高めに設定されているため、多少の不便を感じるのは否めない。また、厚みのあるルーフピラーと小さめのリアウィンドウにより、ドライバーから見ると車両後方の視界の悪さが気になるところだろう。
実用性などで不便な点も多いパナメーラだが、シートは広く、キャビンは本当に申し分のない、高い質でできている。丈夫で、一流素材を使った、贅沢な空間だ。しかもキャビンのほぼすべての場所がカスタマイズできるようになっている。革製のサンバイザーやマホガニー材を用いたドアの台枠など、価格はさらに上がっていってしまうものの、お金に糸目さえつけなければ、そこには実に多くの選択肢が存在する。多くのハイテク装備もあり、もちろんナビゲーションシステムやBluetoothなども標準装備されている。
ハッチバックのスタイルを持つパナメーラだが、パフォーマンスはさすがポルシェの車だ。多くのラグジュアリーセダンを軽くしのぐパフォーマンスを持つ。確かに、911シリーズやケイマンといった車の方がより軽い走りをしてみせるが、駆け始めれば、多くのスポーツカーについていく程度の能力を持っている。ボディの傾きについてもよくコントロールが効き、ステアリングの反応も正確であり、ブレーキの効きも力強い。また、実はコーナーにおける安定性もパナメーラの魅力である。
乗り心地はどちらかというとかためだが、決して不快でない。よりやわらかい乗り心地を求めるのであれば、ベンツSクラスの方がより良い選択肢になるだろうが、凸凹とした道でもパナメーラは安定した乗り心地を保つことができる。高速道路で走らせてみると、ベースモデルのパナメーラ4Sは活気あふれる走りを見せて一気に加速していく。デュアルクラッチA/Tも十分にその役割を果たしており、ギアチェンジも滑らかに行われていく。
燃費はパナメーラ4Sで7.4km/h。1,000万円を超える多くのラグジュアリーカーは搭載エンジンも6気筒エンジンや8気筒エンジンとなるため、その分だけ燃費もあまり期待できず、パナメーラとも大きな差はない。それでもBMWの7シリーズをはじめ、パナメーラと差をつけて燃費の良い車が存在するのも事実である。
お金はかかる車だが、手に入れればきっと特別な一台になるパナメーラ。あなたはどう考えるか。