メルセデス・ベンツEクラス試乗レビューまとめ:世代ごとの違い、中古車で買うときの注意点やライバルは?

新型が発売し、その走りや最新のパフォーマンス性能も話題のメルセデス・ベンツEクラス。各世代の違い、中古車として買う場合のおすすめが気になるという人もいるだろう。また、その歴史や変遷が気になる人もいるのではないだろうか。そこで今回は、歴代Eクラスの特徴、試乗レビュー、中古車の相場や在庫をまとめてご紹介したい。
略歴
日本では1986年に発売されたEクラス。発売当初はミディアムクラスという名前で販売されていたが、2代目になった1995年からEクラスと呼ばれるようになった。そのポジションは今も変わらずSクラスとCクラスの間に位置づけられているが、3シリーズやA3といったちょっと小型のクルマが売れ筋の日本においては、Eクラスは見かける機会が意外に少なく、その分だけ存在感・クラス感が際立つ。
4ドアセダン、5ドアワゴンは4度のモデルチェンジを経て、現在5代目。そのサイズは年々大きくなり、全長は5メートル近くになっている。その他に、3代目と4代目は2ドアのカブリオレとクーペも展開している。そのボディを活かした、優雅な時間が過ごせるインテリアが何よりの魅力。
“In any form, it’s a special car to drive.” — Edmunds
どのような形であっても、特別なクルマだ
“most people … probably wouldn’t need anything bigger, more luxurious or more lavishly appointed than an E-Class.” — AutoTrader
Eクラスの大きさやラグジュアリーさ、豪勢さで物足りない人はほとんどいないだろう。
3代目(2002年-2009年):W211/S211
楕円形のライトを左右それぞれ2つずつ並べたフェイスが特徴の3代目。輸入車というと乗り心地が硬い印象が強いが、この3代目Eクラスは快適さとパフォーマンスのバランスが見事。またメルセデス・ベンツらしい、高価な素材を使ったラグジュアリーなキャビンも評価が高い。
2006年にモデルチェンジをしており、ブレーキやグレード設定など大幅に変更が加えられている。エクステリアは基本的な雰囲気は維持しつつも、後期型はグリルの存在感が増しスポーティーになっている。また前期型はリコールなど不具合が多かく、安全性に疑問を呈する声も多かった。しかし後期型では、不安視されていたSBCシステムを廃止するなどの変更もあり、安全性評価は極めて高い。
難点が少ないクルマではあるが、今から買おうと思うと状態が良いものが見つかりにくい。5代目が発売されたことで4代目の中古車もかなり値下がりしているので、無理に3代目を探さなくてもいいだろう。
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4代目 (2009年-2015年):W212/C207/S212/A207
Eクラスのトレードマークでもある四灯ヘッドライト。2013年まで販売されていた前期型のヘッドライトが左右それぞれでかなり独立しているのに対し、後期型は左右それぞれの二灯が繋がっているような形をしている。LEDを用いた後期型の方が、前期型に比べるとかなりシャープな顔つき。
その最大の魅力は豪華なインテリアや装備だろう。中でもレーダーセーフティーパッケージは2013年のマイナーチェンジで更に充実し、標準装備として搭載されるグレードも拡大されている。また多くのグレードで、燃費が向上し、出力やトルクもパワーアップしている。
2016年に現行モデルである5代目が発売されたことにより、4代目Eクラスは総じて中古車相場が下がってきている。現行モデルと遜色のない充実した安全装備が欲しいなら2013年以降の4代目後期型を、リーズナブルな価格と装備や状態のバランスを重視するなら4代目前期型をお勧めしたい。
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5代目 (2016年-):W213
日本では「未来型Eクラス」とも謳われている、現行モデルの5代目Eクラス。伝統の四灯ヘッドライトは廃止され、現行のCクラスやSクラスとよく似たモダンでアスレチックな顔つきになっている。ボディに軽量なアルミニウムが採用されたことも手伝い、燃費性能は更に向上している。ラグジュアリーな車内空間ももちろん健在。
しかしこの5代目の一番の注目ポイントは、安全技術というよりも自動操縦技術と呼ぶべき進歩したテクノロジーの数々だろう。例えばディスタンスパイロット・ディストロニックは高速道路上で先行車との距離を把握し、自動運転してくれる。その他にもウインカーを点滅させると車両周囲を監視しているセンサーが衝突の危険性がないことを確認し、ステアリング操作をアシストしてくれる「アクティブレーンチェンジングアシスト」や、超音波センサーが左右の最適な駐車スペースを自動で検出し自動で駐車を行う「パーキング・パイロット」も搭載されている。
まだモデルチェンジしたばかりで中古車の在庫も少ない5代目。ここ数年は在庫も少なく、中古車価格もしばらくは高止まりすることが予想される。新車であれば好みのインテリア・エクステリアカラーが選べ、オプションも好きなように付けられるというメリットもあるため、2018年に入る頃までは新車で検討した方が良いだろう。
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その他の検討候補
Eクラスと比較されやすいライバルといえば、アウディのA5やA6だろう。サイズ感も近く、インテリアに高い素材を用いているところも共通している。ただしEクラスがより快適さ重視の走りなのに対し、アウディのA5やA6はもう少しスポーティーさに寄せている。セダンを検討しているならばA6を、クーペやワゴンが欲しい人はA5クーペやオールロードという選択肢がある。